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課題:ゲーム業界の人材的脆弱性
IT分野、コンテンツ産業の旺盛は個々のスキル・テクノロジーの発揮の場をどんどんと提供しているが、まだまだ厳しい現実もある。例えば、コンテンツ産業の柱の1つ、ゲーム業界では人が足りないらしい。
いつも楽しみに読んでいる新清士さんの新清士のゲームスクランブル『「ベーマガ2.0」が日本のゲーム産業を救う』 によれば、
○日本のゲーム会社は優秀な人材が足りないという。
○若年の労働人口の減少は一つだが、それだけが原因とは思えない。
○なぜなら、相変わらずゲームを作りたいと思っている学生の潜在数は多いように思えるからだ。○しかし、ゲーム会社側は高度化した開発現場で即戦力になる人材は期待していない。
○事実スキルが足りない。
◇欧米のゲーム開発力の差は、アマチュアゲーム開発者の数の違い。
◇90年代の終わりから、ゲームをユーザーが勝手に改造できる「Mod」環境を提供。◇欧米企業は、ユーザーに開放する範囲をさらに広げ、03年の段階で、売り上げ上位94タイトルのうち実に34%のパソコン用ゲームがMod環境を提供。
◇この動きは近年加速化し、マイクロソフトの「Xbox360」向けの開発環境「XNA Game Studio Express」などは簡単に入手して開発を始められるようになっている。
◇さらに、アマチュア開発者の技術レベル引き上げを加速化する要因は「ゲーム教科書」の誕生。
◇教科書は、知識の標準化と学習の容易さを飛躍的に引き上げ、すそ野を広げる。そのゲームの教科書が北米ではすでに多数出版されている。
■日本には、90年代まではアマチュアゲーム開発者が確実にいて、そうした人たちがゲーム業界に参加していくことで、産業は大きく成長していった。
■その象徴とも言うべき存在が、1982年に創刊された電波新聞社の「マイコンBASICマガジン」(通称「ベーマガ」)。
■ベーマガは一般読者からのプログラムの投稿を受け付け、それを毎月選別して雑誌にしていた。雑誌の購読者は自分の持っているマイコン用に書かれたBASICプログラムを直接入力し、ゲームを遊んだ。
■これはプログラミングを学習する基礎的な環境を提供した。読者はプログラムを直接入力し、改造したりすることで、プログラム言語の原理を理解していく。
■ベーマガは日本中に、膨大な量のアマチュアのゲーム開発者を生み出した。その中からは事実プロに進んだ人も多い。
ということだ。
たぶん、新さんとは歳が1つしか違わないので、ベーマガの話はまさにピンポイント(笑。 中学校ではじめてPC-8001やPC-8801に触れてからは、ベーマガでおもしろいゲームとかは打ち込んだ記憶がある。
あと、知っている人は知っている、『はるみのプログラミングレッスン』『はるみのゲームライブラリー』とか。。。(笑
またNHKでも「マイコン講座」を放送していて、プログラムはなんと、「ピィ~ガァ~、ピィ~ガァ~、ピィ~。。。」とテレビから聞こえてきたものをカセットテープに録音して使用していた記憶がある(笑。 プログラムをロードするのにえらい時間がかかる、かかる。
そんな風に、誰もが同じ土壌で培えるスキル・テクノロジーが、アナログではあるが実は提供されていたのかもしれない。
もちろん、現在も無償で提供されているプログラミングツールは多い。が、印刷されたプログラムコードを一から打ち込み体で覚えるなんてことはなくなったし、ましてやゲーム業界で即戦力となる潜在的人材を増やすための「体で覚える」ツールは提供されていないのかもしれない。だから、欧米に比べ裾野が狭いのだろう。
◆課題:コンテンツ産業の所得的脆弱性
時々、放送大学を見ているのだが、「情報と社会(’06)」の第11回「グロス・ナショナル・クール」で講師の中村伊知哉(慶應義塾大学教授)さんの講義を見ていた。そこでとてもわかりやすい図が提示されていた。
(注)テレビで見ていた画面をもとにそのまま作成 |
[民間・産業]なのか、[政府・産業]なのか、[政府・芸術]なのか。
各国の方向性がよくわかる。特に韓国の[政府・産業」というのは、オンラインゲームの発達やプロゲーマーの存在、日本のアニメのスタッフエンドロールで韓国のスタジオが名を連ねていることからもよくわかる。
日本は真ん中にあるのでバランスがよいように見えるが実はまったくそうではない。どこにも入らないほど明確なものがないのだ。
現在、海外からの評価高から、サブカルからポップカルチャーへと昇格(笑)したような扱いになり、政府・民間ともに産業育成に声をあげている。
しかし、とても充実しているとは言い難い。
例えば、アニメーターの労働環境は壮絶としか言いようがない。
「アニメ 制作現場から悲鳴 労働環境改善求め協会設立へ」
○休みなしで原画を200枚描いても月数万円、社会保障や退職金もない--。アニメ大国と言われながら、長時間労働と低賃金で人材離れが進むアニメ制作現場の労働環境を改善しようと、アニメーターや演出家が13日、「日本アニメーター・演出協会(JAniCA)」を設立する。(中略)
○「小さいころから夢だった仕事に会社員から転職したが、1日12時間働いて月収は以前の半分。徹夜が続いても残業代はないし、医療保険さえない」。都内のアニメ制作会社で働いて2年目の女性(32)は労働条件の厳しさを訴える。会社員時代はマンションで1人暮らしをしていたが、転職後は家賃が払えなくなり、実家へ帰った。生活費を切りつめるため化粧もやめた。医療費がかかるからと、病気が悪化するまで病院に行かなかった同僚もいる。(中略)
○人気アニメ「あしたのジョー」の作画監督として有名な金山明博さん(68)は「40年近くアニメの世界にいたが、契約社員として働くことが多く、退職金ももらえなかった」と振り返る。
体調を崩して59歳で一線を退いた。今は月12万円の年金が頼りだ。「同年代の業界仲間には生活保護を受けたり、ホームレスになった人もいる。こんな環境で日本のアニメはいつまで持つのか」と心配する。(毎日新聞 2007年10月13日より)
「普通の生活ができない」労働環境とは何なのだろう。
「好きでやっていることなのだから仕方ない。」
では、すまされないのではないのだろうか。
◆雇用形態
しかも、雇用形態が正社員ではない枠組みに入ってしまうことが多いこの業界(コンテンツ産業)。
第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストによる試算では、正社員と非正社員の時給格差は20代前半で約1・3倍。50代では約2・5倍に広がるとのこと。
つまり、若い時はそれほど気にせず「夢」の実現でがんばれていたものが、時が経つにつれ、『生活設計』という「現実」に翻弄されていく。
人口減で若いヒトがどんどん減り、一人一人の存在の重みが増していく。社会保障や収入保障の仕組みを構築しないと産業そのものが衰退していくのは必至。「明確なもの」を早く打ち出していくことが迫られているのだ。
◆問われる敷居の低い環境と安心して働ける仕組みの提供
どんどんと世の中は進化している。だが、裏舞台を見ないようにしていてはバブルやサブプライムのようにいつか破綻する。
ゲーム業界やアニメ業界など、ある意味、世界をリードしているコンテンツ産業をどのように育成していくか。
実はそこに今の日本の労働環境(正社員・派遣社員・ニート・フリーターなどの「枠組み」)をどのように考え直すのかのヒントがあり、その先に、IC(インディペンデント・コントラクター)が見えるような気がするのだが。
皆さんはどう思うだろう。
※誰もが学びやすく、誰もが働きやすい。
※人口減社会での人材資源価値は、そういう土壌が初めにありきではないだろうか。
関連リンク
○新清士のゲームスクランブル
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