全国学力テストの読解力に特に関係する国語をPISA的に分析した結果を掲載しています。
2008年度 全国学力テスト 分析結果
2007年度 全国学力テスト 分析結果
全国学力テストについて
全国学力テストは小学校6年生と中学校3年生を対象に、国語と算数を「知識(A問題)」と「活用(B問題)」という側面から調査したものである。
『知識』
・身につけておかなければ後の学年等の学習内容に影響を及ぼす内容。
・実生活において不可欠であり、常に活用できるようになっていることが望ましい知識・技能。
『活用』
・知識・技能等を実生活の様々な場面に活用する力。
・様々な課題解決のための構想を立て、実践し、評価・改善する力。
2008年 各テストの構成(小学校 国語のみ)
PISAでは読解力を『情報の取り出し』・『テキストの解釈』・『熟考・評価』の3つの側面で捉えている。
全国学力テストは「PISA型」と言われているが、同時に知識定着の面も合わせて測ろうとしているので、テストの構成が
『知識(A問題)』・『活用(B問題)』
となっている。
しかし、実際には単なる「知識」を問う問題とPISAの読解力(『情報の取り出し』・『テキストの解釈』・『熟考・評価』 )が混在した形になっている。
個人的には、 『知識(A問題)』は 知識定着だけを測り、『活用(B問題)』はPISA型の読解力を測るよう、しっかりと分けたほうがより明確に学力低下の原因を探れたのではないかと今も感じている。
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小学校 国語A 『知識』 |
小学校 国語B 『活用』 |
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(C)岡部憲治 |
(C)岡部憲治 |
| 昨年とは異なり、全体の5割が「知識」問題。「知識」定着をより一層明確に測るのだろう。また、残りの5割は『情報の取り出し』と『テキストの解釈』が均等に出題されている。新学習指導要領の一部前倒しの流れを考えれば、 「身につけておかなければ後の学年等の学習内容に影響を及ぼす内容。」 をどの程度で調節していくか、2つの側面から測ろうとする感を受ける。昨年よりも深い。 |
今年は「知識」問題が1問も出題されず、問題数が10問から17問に一気に増えた。 『テキストの解釈』は3問→6問 『熟考と評価』は1問→4問。 まさに、 「様々な課題解決のための構想を立て、実践し、評価・改善する力。」 の基礎を測るのだろう。昨年の小手調べから本格的にPISA型読解力への移行が見てとれる。 |
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中学校 国語A 『知識』 |
中学校 国語B 『活用』 |
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(C)岡部憲治 |
(C)岡部憲治 |
| 多少の誤差はあるものの、昨年との出題比率の違いはそれほど感じない。ただし、『熟考と評価』が5%ダウンとなっているのは「許容(採点時間に影響する)」からだろうか。 | 昨年はバランスよく3側面が出題されていたが、今年は『情報の取り出し』が5割を超えた。やはり、「許容(採点時間に影響する)」が影響しているのだろうか。 |
2008年 レベル別 分析(小学校 国語のみ)
PISAでは読解力のレベルを、レベル1未満~レベル5まで、それぞれ3側面(『情報の取り出し』・『テキストの解釈』・『熟考・評価』)に設定している。
その基準をもとに各問題をレベル別に分析した結果が以下の表。
※なお、拙著「世界標準の読解力 OECD-PISAメソッドに学べ」で書いたように、レベル5を超えてしまうような問題が日本の私立中学入試問題のなかに存在するのでレベル6も加えた。
※また、全国学力テストには「知識」を問う問題あるので、それは単純に「知識」項目として、横軸に足した。「知識」問題とは
『知っていればできるし、知らなければできない』種類の問題
で、PISA型の読解力とは関係ないものとした上で分析している。従って、「知識」はレベル0のみ。
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小学校 国語A 『知識』(全18問) |
小学校 国語B 『活用』(全17問) |
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(C)岡部憲治 |
(C)岡部憲治 |
| 昨年は『情報の取り出し』のレベル2にほぼ集中していたが、今年は分散されている。 そういう意味では、PISA型読解力のどの側面のどのレベルが強いか弱いのかが去年より明確に結果として測ることができるだろう。(ももちろん、レベル2とレベル3に集約されているのは変わらないが。) |
『情報の取り出し』がレベル1~レベル3、『熟考と評価』がレベル2~レベル4まで、昨年よりバランスよく出題されいる。 『テキストの解釈』は昨年同様、1つのレベルで集約(レベル3のみ)。 ただし、今年の小学校A『知識』問題でも『テキストの解釈』は出題されており、問題総数も7問増えたことを考えれば、レベル1つ下げてもトータルにPISA的な意味での読解力を測れるだろう。 |
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中学校 国語A 『知識』(全35問) |
中学校 国語B 『活用』(全10問) |
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(C)岡部憲治 |
(C)岡部憲治 |
| 総問題数が減ったのとレベル4以上が1問も出題されていないところから昨年よりもこじんまりした感がある。 これも新学習指導要領導入に伴う基礎力重視というところだろうか。 |
今年の中学校A『知識』と同じように、レベル4以上での出題数が昨年に比べて減っている。ただし、レベル5が1題出題されているところは批判的思考へ足がかりをもっているかを測ろうとしているかのようにも受け取れる。 |
2008年 事前予想平均点と実際の結果(国語のみ)
今年も私立学校研究家の本間勇人氏といっしょに、全国学力テストの正答率の事前予想を行った。
結果は御覧のように。
※2008年の結果が出たので追加します。(2008/10/08)
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2008年 国語 正答率 事前予想 |
2008年 国語 正答率 結果 |
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やはり、今年も『許容』は公開されないのだろうか。
『許容』が公開されるとさらに精度が上がるのだが。。。
⇒公開されませんでしたね。。。(2008/10/08)
それにしても、小学校は事前予想との差が結構開いた。
やはり、レベルの分散と『熟考・評価』が結果に反映したのだろうか。
2007年 各テストの構成(国語のみ)
PISAでは読解力を『情報の取り出し』・『テキストの解釈』・『熟考・評価』の3つの側面で捉えている。全国学力テストは「PISA型」と言われているが、同時に知識定着の面も合わせて測ろうとしているので、テストの構成が『知識(A問題)』・『活用(B問題)』ともに「知識」の確認問題と『情報の取り出し』・『テキストの解釈』・『熟考・評価』が混在した形になっている。
個人的には、『知識(A問題)』は知識定着を測り、『活用(B問題)』はPISA型の読解力を測るようしっかりと分けたほうがより明確に学力低下の原因を探れたのではないかと感じている。
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小学校 国語A 『知識』 |
小学校 国語B 『活用』 |
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(C)岡部憲治 |
(C)岡部憲治 |
| 当然、後の学年に影響を及ぼすのだから、知識問が多いのかと思いきや、プロセスとしては『情報の取り出し』が6割を占めていた。つまり、『情報の取り出し』は「実生活において不可欠であり、常に活用ができる」ものとして考えられているのだろう。 | 活用、実践、評価、改善する力が問われるわけだから、当然、『テキストの解釈』や『熟考と評価』の割合が増えてくる。ただ、評価・改善する力を測るには『熟考と評価』の比率が低いような気がするが。 |
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中学校 国語A 『知識』 |
中学校 国語B 『活用』 |
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(C)岡部憲治 |
(C)岡部憲治 |
| 学習内容が多いのか、小学校に比べて、「知識」の割合がとても高い。その分、『情報の取り出し』の比率が低くなっている。また、『知識』とはいえ中学生なので『テキストの解釈』だけでなく、『熟考と評価』も必要と考えられたのだろう。 | 中学校の『活用』では、完全に「知識」問題がなくなった。PISAを受検したのが日本の高校1年生というのを考えれば、よりいっそうPISA型に即した形になっているのだろう。 |
2007年 レベル別 分析(国語のみ)
PISAでは読解力のレベルを、レベル1未満~レベル5まで設定している。しかも、読解力の3側面(『情報の取り出し』・『テキストの解釈』・『熟考・評価』)それぞれに設定している。
その基準をもとに各問題をレベル別に分析した結果が以下の表。
※なお、拙著「世界標準の読解力 OECD-PISAメソッドに学べ」で書いたように、レベル5を超えてしまうような問題が日本の私立中学入試問題のなかに存在するのでレベル6も加えた。
※また、全国学力テストには「知識」を問う問題あるので、それは単純に「知識」項目として、横軸に足した。「知識」問題とは
『知っていればできるし、知らなければできない』種類の問題
で、PISA型の読解力とは関係ないものとした上で分析している。従って、「知識」はレベル0のみ。
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小学校 国語A 『知識』(全18問) |
小学校 国語B 『活用』 (全10問) |
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(C)岡部 憲治 |
(C)岡部 憲治 |
| 全体の3割が「知識」問題で、残りがほぼ『情報の取り出し』。 小学6年生に対して、まずは「知識」の定着、そして『情報の取り出し』の基本的なレベル2とレベル3にほぼ集約されている。 その後の成長を考えると、まずはこのレベルがきっちりとできているかを重要視しているのだろう。 |
全体の9割はPISA型読解力の問題。 そのうち、5割が『情報の取り出し』で、レベル1とレベル2。 『知識』(A問題)でレベル2とレベル3を出題しているのに、逆にレベル1とレベル2に集約している。『知識』と『活用』の両方で考えれば、レベル1~レベル3までコンスタントに出題し、基本をおさえているかを見ているのだろう。 そして、『テキストの解釈』のレベル4と、『熟考と評価』のレベル3の問題を出題し、既存の読解力とは異なるPISA型読解力へどの程度の応用がきくか小手調べというところだろうか。 |
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中学校 国語A 『知識』(全40問) |
中学校 国語B 『活用』 (全10問) |
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(C)岡部 憲治 |
(C)岡部 憲治 |
| 小学校の『知識』(A問題)に比べて半分以上が「知識」問題。 中学校の方が学習内容が多くなるのでそうなるのは必然か。 残りの問題も『テキストの解釈』と、『熟考と評価』の割合が多くよりいっそう、PISA型読解力への対応力を見ているようだ。 |
さすがに、「知識」問題は一つもなく一番、PISA型の読解力問題に近い。 問題数は少ないながらも、ほぼレベル3とレベル4に集中している。 これは、今まで培ってきた知識をどのように分類・照合し、論理思考へと高めることができるかを測ろうとしているのではないかと考えることができる。 |
※総じて、3つの側面を串刺しで見てみると、レベル3を中心にレベル2やレベル4の問題が多めに設定されている。
実際、レベル6の「創造的思考」へとジャンプするには、レベル3が重要になるのでそういう意味では「まずは基礎」というところだろう。
ただ、実際に、PISA型読解力を測るにはすべての側面とすべてのレベルを網羅したテストが必要だとも感じる。今後も学力テストの精査は必要だろう。
2007年 事前予想平均点と実際の結果
実は私立学校研究家の本間勇人氏といっしょに、全国学力テストの正答率の事前予想を問題公開時に行った。結果は御覧のように。
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2007年 国語 正答率 事前予想 |
2007年 国語 正答率 結果 |
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中学校の『活用(B問題)』を除けば、ほぼ5%前後に収まっているので、まずまずというところ。
中学校の『活用(B問題)』の大きな開きは、解答が『許容』によってかなり左右されるので、しかたがない部分がある。今後、『許容』が公開されれば明瞭になっていくだろう。個人的には、どのような誤答があがったのか見たいところだ。
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