-『情報の取り出し』
-『テキストの解釈』
-『熟考・評価』
-PISA 読解力のレベル
-PISA レベルに基づく、新指標
PISA 読解力 3側面 -情報の取り出し、テキストの解釈、熟考・評価-
PISAでは読解力を『情報の取り出し』・『テキストの解釈』・『熟考・評価』の3つの側面で捉えている。
- ○『情報の取り出し』
英語では Retrieving information。
Retrieve の一般的な日本語訳は「取り出す、回収する、検索する、読み出す」など。
だから、『情報の取り出し』。
この表現を聞いてすぐに思いついたのは、ゴールデンレトリバー。
ゴールデンレトリーバー(Golden retriever) とは狩猟だったり、人の救出だったり、まさに、「取り戻す犬。回収する犬」だ。
それから、大学時代に人口統計学でLotus1-2-3(Excelみたいなソフト) を使っていたが、そのときに作成したファイルを開くときに、”retrieving files” のようなメニューがあった気がする。
PISAの場合は、紙のテストだから、テスト問題の情報の取り出しとなるわけだが、その情報を「テキスト」と呼んでいる。
「テキスト」というと、参考書というイメージがあるが本来の意味はもっと広い。
特にPISAでは、文章(文字)だけでなく、図・グラフ・表・マトリクス・地図・書式なども「テキスト」としている。
日常生活であろうとPISAであろうと、情報の取り出しとは
「(大きな)かたまりのなかから目的に応じて、自分に必要なものをもってくる」
そんなイメージがある。
○『テキストの解釈』
英語ではInterpreting texts。
Interpreteの一般的な日本語訳は「解釈する・説明する・読み取る・通訳する」など。
だから、「テキストの解釈」。
やっぱり、すぐに思い浮かぶのは、映画「ザ・インタープリター (2005)」。ニコールキッドマン演じる国連通訳が主役のサスペンス。
通訳という仕事は単に相手の言うことを直訳するのではなく、相手の言葉のマナーに合わせて適時、文脈を解釈しながら訳す。つまり、Interpreteする とはそういうことだ。
あとは、ジェスチャーゲームも解釈のゲームだろう。なぜなら、体の動きが何を意味するのか解釈して答えを導き出すのだから。
PISAでは特に
「書かれた情報から推論してテキストの意味を理解する」
という説明がある。
なので、例えば、「折れ線グラフの変化は何を意味するのか」とか「どうして作者はこういう表現をしたのでしょうか」などという問いが出題されることが多いのだろう。
日常生活であろうとPISAであろうと、テキストの解釈とは
「相手(対象)が何を意図しているのかを読み取ろうとする力」
そんなイメージがある。
※今風に言えば、「空気が読める」だろうか(笑。
○『熟考・評価』
英語では Reflection and Evaluation。
Reflectionの一般的な日本語訳は「反射・反映・熟考・考え・兆候」など。
Evaluationの一般的な日本語訳は「評価・評定・見積もり」など。
だから、「熟考・評価」。
「熟考・評価」については、日常生活のなかでパッと思い浮かぶものがなかったが、この表現自体がなるほどと思った。
単に評価するだけならば、Evaluationだけでいいわけだが、あくまでも
Reflection とEvaluation なのだ。
つまり、Reflectionは、相手(対象)に対して自分がどうなのかをよく考え、あるいは相手(対象)の考えを反射・反映させ自分と比べた結果をEvaluation(評価)するのだ。
例えば、同じ風景や人物を描写しても人によって絵は違う。
これは見ている段階ではReflectionだが、
描いた絵はEvaluationなので人によってそれぞれ違ったものになる。
さらに、PISAでは、
「書かれた情報を自らの知識や経験に関連づける」と説明がある。
日常生活のなかで得たものが重要になってくるということだ。
つまるところ、
「単なる感想ではない自分の考えがそこに反映されているかいないか」
熟考・評価にはそんなイメージがある。
PISA 読解力 各側面のレベル
○PISA 読解力のレベル
意外にメディアで取り上げられていないのが、読解力の各側面のレベルだ。
レベルはレベル1未満~レベル5までの6段階で設定されている。
※生きるための知識と技能3 OECD生徒の学習到達度調査(PISA) 国立教育政策研究所 編より作成 |
つまり、一つ一つの設問が読解力のどの側面のどのレベルかということがわかるようになっている。例えば、テキストの解釈のレベル3の設問は
「テキストの部分と部分の関係を明らかにすることができる」
ことを測っているわけだ。
ただし、PISAのレベルは集計した結果に基づくもので、各設問がどのレベルかはある意味、「後づけ」となっている。
○PISA レベルに基づく、新指標
PISAの指標が生きるための力としての「学力指標」ならば、これを利用しない手はない。
そこで読解力の3側面を横断する力をレベル別に定義してみた。
| (C)岡部憲治 |
※レベル6
拙著でも触れているが、日本の私立中高一貫校の入試問題のなかには、PISAの読解力のレベル5を超えているものがある。そこで、レベル6を設定。3側面の定義もオリジナルだ。
コメント: 2
- まる3
09-03-12 (木) 9:58 - こんにちは。 「読解力レベル」で検索していてここにたどりつきました。 いま、僕は地方の小さな図書館で、指定管理者館長をしています。 米国の Accelerated Reading Program に興味をもち、日本版が出てくれないかと期待している一人です。そこで、少なくとも子どもたち自身が、1)自分の読書レベルを把握でき、なおかつ、2)出版されている図書に 要求される読書レベルの表記がされている。単純に「何年生向け」ではない一人ひとりの国語力、読書力を把握できるものがないか… 「読解力」とはちょっと違う「読書力」を養うトレーニング方法はないものか…なんてことを考えています。
- admin
09-03-13 (金) 12:00 - ブログにお越しくださりありがとうございます。また、コメントありがとうございました。 PISAの例で見れば、日本では「結果」のみに焦点があてられ、実際にどういう構造で読解力が構成されているか(つまり、レベル分け)には、ほとんど注目が集まりませんね。 コメントいただきました「Accelerated Reading Program」も、たぶんアメリカだからこそ成り立つのではという気もします。というのも、アメリカは移民の国で、まず「英語」を習得することが必須です。 ゆえに様々なプログラムが発達し、本でいえば「Graded Readers(多読)」が発達しています。 そんな土壌があるからこそ「レベル分け」にも慣れているのではないかと思います。 日本でいう「読解力」が日本国内での共通コードなのか、それともグローバルスタンダードでの共通コードなのか。 まずはそこがはっきりしてくると、「国語」と「読解力」の境界線が見え、本の活用にも日本独自の様々な方法がでてきたりするのかもしれませんね。 ちなみに、ニュージーランドでは、Reading Recovery Program というのもやっています。 http://www.readingrecovery.ac.nz/reading_recovery/ これは完全に人ベースです。 長々と失礼しました。あらためてコメントありがとうございました。では。
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- PISA 3側面とレベル from 世界標準の読解力 …著者 岡部憲治
- Pingback from 中学受験で不安を克服② 全国学テが隠しているコト « 本間勇人 の Goodware Times
09-04-26 (日) 8:58 - […] ◇PISAでは、読解リテラシーのレベルを設定しています。どこまで読むのか、どこまで考えるのかというレベルの基準の仮説を立てています(レベルについては詳しくは岡部憲治氏の「世界標準の読解力」のブログの中の「PISA3側面とレベル」をご覧ください)。 […]